キャンプを通してじわじわと距離を縮めていく関係性が多くの読者の心を掴んでいる、出端祐大の漫画『ふたりソロキャンプ』。特に、樹乃倉厳(きのくら げん)と草野雫(くさの しずく)の“恋人になる瞬間”を知りたい人も多いはずです。
この記事では、厳と雫が付き合うタイミングを中心に、どの巻・話でどのようなやりとりがあり、それまでにどんな展開があったのかを**時系列**で整理していきます。
また、「告白」や「言葉での明示」があるかどうか、その後の関係の深化も含めて見ていきましょう。
- 厳と雫が恋人になるまでの時系列と巻数
- 告白から交際確定までの心の動きと背景
- 結婚を示唆する描写とふたりの未来の可能性
交際開始は第17巻:正式に“恋人同士”になる瞬間
静かな焚き火の音、揺れる影、そしてふたりきりの夜。
長く続いた“ふたりソロキャンプ”という関係が、ついに明確に変化する瞬間が訪れたのが第17巻・第101話です。
それまでの微妙な空気感が、ひとつの言葉によって“恋人”という関係に確定されました。
このシーンでは、草野雫が友人に対して「彼氏だよ」と厳を紹介する描写が登場します。
読者目線でも、これが交際の“外部への明言”であり、物語上の決定的な転換点であることは間違いありません。
この瞬間をもって、ふたりの関係が「ただの師弟」から「対等な恋人関係」へと移行したといえるでしょう。
しかし、そこに至るまでの過程は決してスムーズではありませんでした。
第93話(第15巻)では、雫が夜のキャンプ中に「好きです」と静かに想いを告白します。
派手な演出は一切なく、焚き火の前でただ気持ちを伝えるという、本作らしい静かな恋愛描写が描かれていました。
その告白に対する厳の返答は、すぐには示されません。
彼の性格――不器用で過去の恋愛に慎重な一面――を考えれば、それも自然な流れです。
それでも、その後の数話でふたりは少しずつ距離を縮め、心の温度が変化していく過程が丁寧に描かれていきます。
そして第101話、雫の言葉によって「もう隠さなくていい関係」として、ふたりの恋が結実します。
このセリフは、ただの紹介ではなく、雫自身の自信と確信、そして厳との関係性に対する強い覚悟の表れでもあると感じました。
厳もそれを否定せず、自然に隣にいる――それがこの関係の成熟を物語っているのです。
この交際確定の描写は、従来の恋愛漫画のような“告白と即成立”という展開ではありません。
むしろ、時間をかけて築かれた信頼と絆の延長線上にある、静かな到達点です。
だからこそ、読み手に深い感動を与えるのでしょう。
“ふたりソロキャンプ”という特殊な関係性を、恋人という形に昇華させた第17巻は、シリーズ全体の中でも非常に重要な巻となっています。
単なる恋愛漫画ではない、“人と人が心を通わせる物語”の醍醐味が詰まった一冊です。
交際前:信用と絆を育てる準備期間(13〜15巻)
厳と雫が恋人になる前には、長い時間をかけて築き上げられた信頼関係がありました。
第13巻〜15巻は、ふたりの関係性が「師弟」から「対等なパートナー」へと徐々に変わっていく重要な期間です。
この間に描かれるのは、恋愛感情そのものというよりも、互いを理解し、受け入れるための土台作りです。
たとえば第13巻では、ふたりが一緒に過ごす時間がさらに自然なものになっていきます。
焚き火を囲みながら他愛もない話をしたり、食事の支度を分担したりと、恋人未満の距離感がとてもリアルに描かれています。
この“何気ないやりとり”こそが、後の恋愛関係への伏線となっており、作品の魅力のひとつです。
第14巻では、雫の気持ちが少しずつ言葉として現れるようになります。
ふとしたタイミングで見せる照れや真剣な眼差しに、「この人が特別なんだ」という雫の心の変化が表れ始めます。
それに対して厳は、無自覚ながらも彼女の存在を“当たり前”と感じ始めており、この微妙な“認識のズレ”が丁寧に描かれている点も印象的です。
第15巻では、雫が自分の気持ちにしっかりと向き合い始めます。
読者にとって忘れられないのが第93話での告白シーンです。
焚き火の音だけが響く夜、雫が静かに「好きです」と伝える場面は、本作のなかでも屈指の名シーンといえるでしょう。
ただし、厳からの返答はすぐには描かれません。
過去に恋愛で心の傷を負った彼の慎重さが浮き彫りになります。
この“間”こそが、ふたりの関係のリアルさを物語っており、読者の心に深く残るのです。
この13〜15巻は、「恋人になる」ための直接的な動きは少ないものの、ふたりの心がじわじわと重なっていく様子が繊細に描かれています。
まさにこの期間があったからこそ、後の第17巻での交際確定が読者にとって自然に感じられるのです。
恋愛に必要なのは、感情の爆発ではなく、信頼の積み重ね――それを実感させてくれる、心温まる展開が続く巻です。
交際後の展開(第17巻以降)
第17巻で恋人関係が明示された後も、“ふたりソロキャンプ”というスタイルは大きく変わりません。
しかし、ふたりの関係性には明らかに親密さと柔らかさが増していく描写が加わり、物語のトーンにも温かな変化が生まれます。
恋人となったからこそ見える“新たな距離感”が、17巻以降の最大の見どころです。
交際が始まってから最初に印象的なのは、クリスマスキャンプのエピソードです。
雫が用意した手作り料理や、プレゼント交換など、恋人同士ならではのやり取りが微笑ましく描かれています。
特に雫が嬉しそうに「今年は厳さんと一緒に過ごせてよかった」と言う場面は、これまでの努力が報われた瞬間のように感じられ、胸を打たれました。
また、第18巻以降では、キャンプ以外の場面での交流も増えていきます。
たとえば、キャンプ帰りに車で一緒に帰宅したり、雫の実家を訪れる描写など、“現地集合・現地解散”のルールを超えた関係性が展開されています。
この変化は、厳が少しずつ“誰かと日常を共有すること”に心を開いてきた証でもあります。
さらに第104話(第17巻収録)では、雫の実家を訪れるエピソードが描かれます。
雫の父親から「今度は結婚報告か?」と冗談めかして言われるシーンは、ふたりの関係が家族にも受け入れられ始めていることを示しており、将来への伏線ともとれる展開です。
このように、恋人としての交際が始まった後も、急激な進展ではなく“自然な変化”の積み重ねで描かれていく点が、本作ならではの魅力です。
また、雫の側にも大きな成長が見られます。
以前は“師匠”としての厳に気後れしていた彼女が、今では堂々と対等なパートナーとして接しています。
恋人という立場が、雫に自信と安定感を与えている様子が読み取れ、読者としても彼女の成長を嬉しく感じます。
このように第17巻以降の物語は、「交際後の日常」が丁寧に描かれる構成になっており、
恋愛の“その先”を描く新たなフェーズに入ったと言えるでしょう。
ふたりの関係がどのように深まり、将来どのような形を選ぶのか――今後の展開にもますます注目が集まります。
告白の回(話数)とその直前・直後の流れ
ふたりソロキャンプにおける最初の明確な恋愛の転機は、原作コミック第93話(第15巻収録)に登場します。
この回では、草野雫が夜の焚き火の前で、静かに「好きです」と告げる場面が描かれます。
これまで長く続いた曖昧な関係を、雫が自らの言葉で変えようとする、感情のピークとも言える回です。
告白が描かれた話数と状況
第93話の舞台は、いつも通りのキャンプの夜。
雫は、焚き火の灯りに包まれながら、これまでの自分の気持ちを丁寧に言葉にしていきます。
大げさな演出はなく、雫の真剣なまなざしと、焚き火の音だけが響く静けさが、場面全体に張り詰めた空気を生み出します。
「師匠として好きなのではなく、ひとりの男性として好き」という想い。
この言葉が、雫の内面の大きな成長を示しており、それまでの“弟子”という立場から明確に抜け出す宣言でもあります。
この回の告白によって、ふたりの関係は確実に変化し始めます。
告白前のすれ違いと告白後の共感・確認シーン
告白に至るまでの数話(第88〜92話)では、雫の内面の揺れが繊細に描かれていました。
厳との距離が縮まる中で感じる「好きかもしれない」という思いと、「伝えても受け入れられないかも」という不安。
この間の雫は、自分の気持ちに葛藤しながらも、少しずつその輪郭をはっきりさせていきます。
一方で厳は、雫の変化に気づきながらも、それをどう受け止めるべきか判断しかねています。
彼の過去には、深く傷ついた経験があり、簡単に恋愛に心を開けない背景があります。
この“すれ違い”が、ふたりの関係をよりリアルで重層的なものにしているのです。
そして告白後、厳はすぐに言葉で返答することはありません。
ただ焚き火を見つめ、雫の存在を静かに受け止める――その様子に、揺れる心と葛藤がにじみ出ています。
この“返事を保留する姿勢”こそが、厳という人物の本質を表しているとも言えるでしょう。
この後の展開では、ふたりの関係がすぐに恋人になるわけではなく、“受け止めた気持ちを、行動で確かめ合っていく”という流れになります。
第93話は、そんなふたりの恋愛が始まる“入口”として、物語全体の中でも非常に重要な回です。
言葉よりも空気感、演出よりも感情の温度――そうした“余白”を丁寧に描く構成が、読者の心を深く動かす要因となっています。
結婚の可能性と現時点での“恋愛の結末”の描かれ方
厳と雫の交際が正式に描かれた後、多くの読者が気になっているのが「ふたりは最終的に結婚するのか?」という点です。
『ふたりソロキャンプ』は単なるラブストーリーではなく、価値観やライフスタイルの違いをどう乗り越えるかという“人生の物語”としても描かれています。
そのため、結婚というテーマに対しても、決して軽くは扱われていません。
物語終盤で見える将来の共有の兆し
結婚の可能性を強く感じさせる描写が登場するのが、第104話(第17巻)の雫の実家訪問エピソードです。
この回で雫の父が厳に対して放つ一言、「今度は結婚報告か?」という台詞は、読者にとって衝撃的でありながらも大きな期待を抱かせる場面でした。
この言葉は冗談めかしたものでありながら、ふたりの関係が家族にも受け入れられたことの象徴でもあります。
厳もまた、その場面で否定することなく受け止めている様子が描かれており、以前のように距離を置く姿勢とは明らかに異なります。
このことからも、ふたりの間には確実に「将来を意識した関係性」が育まれていることが伝わってきます。
それはまだ明言こそされていませんが、結婚という未来が視野に入っていることは間違いありません。
結婚という形ではなく、“共にいること”を選ぶ関係性の重視
一方で、本作では“結婚”という言葉にこだわらず、「共にいることの意味」を大切に描こうとする意図も感じられます。
ソロキャンプという孤独と自由を重視するスタイルの中で、誰かと一緒に過ごすことがどういうことなのかが、物語を通して一貫して描かれてきました。
とくに、“結婚=幸せ”という図式を安易に描かない点に、この作品の深みがあります。
厳にとって雫は、ただの恋人やパートナーではなく、自分の人生において欠かせない存在として描かれています。
そして雫もまた、厳の価値観を尊重しながら一緒にいる道を選んでいる。
このように、形式よりも関係性の本質に重きを置いているのが、ふたりの恋愛の特徴です。
今のところ、結婚式やプロポーズといった描写は登場していません。
しかし、日常の会話や仕草の中に、“共に未来を歩んでいる”という確かな実感が描かれており、それこそが本作なりの「恋愛の結末」なのかもしれません。
静かで深い、ふたりらしい愛の形が、今まさに描かれ続けているのです。
まとめ:ふたりソロキャンプで厳と雫が付き合うのはいつか・その意味
『ふたりソロキャンプ』において、草野雫と樹乃倉厳の関係は、単なる恋愛漫画のテンプレートには当てはまらない特別な進展を見せました。
読者の多くが気になる「ふたりが付き合うのはいつか?」という問いの答えは、原作コミック第101話(第17巻)にて明確に描かれます。
それは雫が友人に対して厳のことを「彼氏だよ」と紹介する場面であり、物語上初めて恋人関係が外部に向けて明言された瞬間です。
とはいえ、ふたりの関係はそこに至るまでの過程が非常に丁寧に描かれています。
第93話での雫の告白(第15巻)から始まり、焚き火の音だけが響く静寂の中で交わされる言葉や、交際までの“間”を通して、ふたりの関係性が育っていく様子が読者に静かに伝わってきます。
この“時間をかけて距離を縮めていく”描写こそが、本作の恋愛表現の大きな魅力です。
また、交際が始まってからの物語も、ドラマチックな展開ではなく、日常を共有しながら少しずつ深まる絆に焦点が当てられています。
キャンプという非日常的な環境で始まった関係が、クリスマスや実家訪問といった“生活の延長”に溶け込んでいく描写は、恋愛が現実の一部になる瞬間を見せてくれます。
結婚という明確なゴールはまだ描かれていませんが、ふたりの間にはすでに“将来を見据えた繋がり”が存在しているのです。
『ふたりソロキャンプ』は、派手な恋愛の演出こそありませんが、そのぶん登場人物の感情の揺らぎや成長を繊細に描くことに長けています。
特に、厳のように過去に傷を抱える人物が、雫という存在によって少しずつ変わっていく様子は、“誰かと一緒に生きる意味”を静かに教えてくれるような描写です。
そして雫もまた、年齢や経験の差を超えて、自分の気持ちをまっすぐに伝えられる女性へと成長していきました。
結局のところ、この作品が伝えているのは、「いつ付き合ったか」というタイミングそのものではありません。
むしろ、付き合うまでの過程と、その後も一緒に過ごす日々の意味に重きが置かれています。
恋人になったあとも、ふたりがどのように関係を育て、どこへ向かっていくのか――それを見届けたくなる、そんな“静かな愛の物語”が、この作品には息づいています。
- 厳と雫が付き合うのは第17巻・第101話
- 告白は第93話で、雫からの静かな想いが描かれる
- 交際までの過程は13〜15巻で丁寧に積み重ねられる
- 交際後はクリスマスや実家訪問など日常の共有が描写
- 雫が「彼氏」と紹介する場面が恋人関係確定の証
- 結婚はまだ未描写だが、将来を匂わせる伏線あり
- ふたりの関係性は形式より“共にいる意味”を重視
- 焚き火を囲む会話が関係の深化を象徴している
- 恋愛だけでなく人間関係の機微も丁寧に描かれる
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